心配される症状にお答え


 

 

 

赤ちゃん、乳幼児、学童に関して日頃、

心配する症状についての疑問にお答えします。

 

Q1(泣いたときに)鼠径部が腫れます。寝ているときは腫れがはっきりしなくなることもあります。

 

鼠径ヘルニアが考えられます。同じような所見では精索水腫(陰嚢水腫)女児ではヌック嚢腫が考えられます。

 

新生児から乳幼児、学童まであらゆる年齢で発症します。男児に多いのですが女児にも発症します。通常は腸が飛び出したものですが、女児では卵巣のこともあります。

 

新生児例では自然治癒もありますが、原則的には手術治療が必要です。

通常痛みはありませんが、痛がる、不機嫌、腫脹が固い場合は、かんとん(腸がはまり込んで血流障害をきたしている状態)の可能性があり急いで治療が必要となります。  


Q2 おへそがぐじゅぐじゅしています 

 

ほとんどは臍帯の脱落・乾燥(上皮化)が不十分なために生ずるものです。家庭で消毒したり清拭しても膿や出血で洋服の汚れが続くことがあります。お臍の奥をよく見ると光沢のある赤いしこりが見えます。この場合抗生剤や消毒では改善しないことが殆どです。

 

根元が細く茎状であれば糸で結んで脱落させます。結べない場合は硝酸銀棒による焼灼を行ないます。(複数回要することもあります。

 

なかなか治らないよう場合や幼児~学童期に発症〈臍よりの分泌物、臍周囲の発赤〉した場合は尿膜管遺残症が疑われ手術(摘除)が必要となります。


Q3 包茎でしょうか。おちんちんの皮がむけていないのですが。

 

包皮の先端が細く(狭く)少々むいても亀頭が全く見えない状態が真性包茎です。以下の症状がなければ基本的には治療の必要はありません。排尿時、包皮が風船状に膨らむ場合、年長児で排尿時、尿がまっすぐ飛ばず散乱する場合、亀頭包皮炎を繰り返す場合などです。

 

軟膏(ステロイド入り)マッサージ療法を行うことで改善されます。仮性包茎(剥くと亀頭が露出される)では包皮と亀頭の癒着があることが多く、無理に剥くと癒着がはがれ炎症を起こすので日常的に、強制的に剥いて洗う必要はありません。


Q4 何日も便が出ないのですが

 

新生児、乳児は通常1日3-4回の排便があります。

3日から4日間排便がない場合、便秘症といわれます。哺乳良好で不機嫌がなければ場合は経過観察しても構いません。排便時の出血、痛み、食欲不振、不機嫌、腹部膨満、嘔吐などの症状を有する場合は何らかの治療が必要になります。多くは硬便になりますが、水様便でしかもガスも溜まっている場合は何らかの疾患も考慮しなければならなりません。

 

一般的な対処法としては浣腸、水薬の下剤、坐薬、整腸剤などを使用し、便秘の悪いサイクル(便秘-排便時肛門痛-食欲不振-排便恐怖-便秘)を断つようにします。

難治性の場合はヒルシュスプルング病やミルクアレルギーなどの疾患も考慮されます。


Q5 お乳にしこりがあるのですが

 

乳幼児期または学童期に、男児、女児に関わらず受診されます。

親御さんの中には乳がんを心配される方もいらっしゃいます。

 

原因はエストロゲンの作用による一時的な腫大であることが殆どで、1年以内に自然消失します。片側のことも両側のこともあります。圧痛を伴うこともあります。乳輪の腫大を伴うのも特徴です。

 

10代~10代後半からは良性の線維腺腫を急速に増大する場合は

 

葉状腫瘍を疑い、検査をすすめる必要があります。


Q6 おしりが化膿して赤く腫れています。 

 

乳児期の男児がほとんどです。

 

肛門から1.5cm~2cm離れた側方に発赤を伴う硬結を認めます。

次第に増大し発赤がひろがると、赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、自壊して膿や血液が流れ出す例もあります。殆どは乳児痔ろうに伴う肛門周囲膿瘍です。膿をだすために時に外来で小切開することがありますが、入院をしての手術が必要になる例はまれで6ケ月~1歳までに自然治癒します。局所の消毒や軟膏塗布、抗生剤の投与は無効です。

 

多くは膿瘍―自壊排膿―瘢痕―再燃を何回か繰り返しますが、便が次第に固まってくる時期には改善傾向となります。漢方の服用により治癒を促進された例もあります。稀ですが1-2歳過ぎても治癒しない場合は、全身麻酔下の切開または摘出が必要となります。 


Q7 生まれつきお尻の上にくぼみがあるのですが

 

肛門の後方、尾骨(尾てい骨)正中のくぼみに気ずくことがあります。多くは尾骨部の浅いくぼみで問題となりません。

 

くぼみが深い場合、周囲に血管性母斑(赤いあざ)や多毛を伴う場合、尾骨より上方の仙骨部にある場合などは、潜在性の二分脊椎、脊椎の異常や深部の腫瘍の存在を除外診断するため、MRIという検査が計画されます。


Q8 泣いて力んだりすると おへそが飛び出します。                                                                        

お臍が取れた後、臍の深部(臍輪)の腹壁の肥厚・閉鎖が遅れ腸管が腹膜をかぶって脱出したもので臍ヘルニアといわれます。乳児の約5%に発症します。8~9割は自然治癒します。皮膚が破れることはありません。赤ちゃんに痛みはありません。

 

早期治癒、治癒後の臍突出を防ぐ目的で膨隆部を綿球で圧迫しフィルム貼付する治療を行います。多くは2-3ケ月で治癒します。

 

1才を過ぎると治癒しにくくなり手術療法が選択されます。


Q9 便に血がつくのですが、

 

もっと多いのが裂肛(切れ痔)に伴う出血です。便秘や硬便、急激に排出される下痢便により肛門に裂創を生じ出血するものです。

 

すじ状の新鮮血が便の表面に付着します。血液だけのこともあります。裂肛の場合、肛門縁に疣様のしこりが生ずることがあります(見張り疣)。女児では膣の方向に特徴的な見張り疣を生じます。

排便のコントロール(浣腸、緩下剤、整腸剤)で改善します。

 

便に新鮮血が付着する病気として他に直腸ポリープや腸管リンパ濾胞過形成、食物アレルギーがあります。出血が長期に及ぶ場合、全身状態の変化(嘔吐、腹痛、顔色不良、不機嫌)を伴なう場合、出血が大量の場合は、早期に受診する必要があります。


Q10 吐きやすい

 

乳児期に哺乳後にたびたび吐くとして心配して受診します。

体重増加良好で機嫌不良がない場合、多くは問題ありません。

 

乳児期は胃の固定が不良で、あおむけや縦抱っこの時は胃上部が背中側に倒れる形(胃軸捻転様)になり易いのです。哺乳すると胃の上部にのみミルクがたまり吐きやすくなります。この場合は哺乳後の体位(右側臥位~腹臥位)により嘔吐は減少します。

 

体重増加不良・減少、胆汁(黄色)を含む嘔吐、機嫌不良や顔色不良を伴う場合は早急に受診してください。何らかの病気を考慮しX線撮影などが行われ疾患に応じ治療が行われます。


Q11 便の色が薄くなった  

 

出生時、便は黒緑色粘調な胎便ですが次第に黄色あるいは緑色の便に変わります。生後1-2週以降に便色が薄くなった(クリーム色、璧のベージュ色、メロンパン色)場合は、小児科を受診することをお勧めします。

 

受診時、便を持参するか、スマホで写真を撮っておくと参考になります。母子手帳に添付されている便色カードが表現するのに参考になります。

 

本邦では出生9千~1万人に1人の発生率ですが、早期診断治療がその予後を左右する胆道閉鎖症を診断するのが最も重要な点です。

 

本疾患は哺乳良好で全身状態も保たれていますが、診断が遅れると硬膜下出血をきたしたり、手術の結果が不良になる可能性があります。


Q12 検診で精巣が触れないといわれました。

 

指摘された時期が大切です。

新生児期であれば、停留精巣の可能性が大です。生後半年くらいまでは自然下降する例もあるので小児外科外来で経過を見て手術の適応・時期を検討されます。退院後に親御さんが確認できればまずは安心です。停留精巣と診断されれば1歳前後までに手術が勧められます。

 

3ケ月、半年、1才、それ以降の検診で初めて指摘され小児外科へ精査のため紹介されます。多くは移動性精巣(遊走精巣)です。精巣の陰嚢皮下への固定不良のため、あおむけ、泣いているときや大腿内側の触知などで容易に鼠頚部に挙上し、触知できない状態となります。もちろん真の停留精巣の場合もあります。

 

外来受診時、触診する場合は母親の膝の上に座らせて、温かい左手で鼠径部を抑えつつ右手で精巣を触知します。すでに挙上している場合は陰嚢まで引き下ろしてみて離し再挙上しないかどうか観察します。移動性精巣の場合は家庭で入浴時陰嚢内に触知できるかを確認してください。触れるようなら心配いりません。


Q13 おなかが異常に大きいように思うのですが。

 

乳児期におなかが異常に膨れているのではと心配して受診されます

 

乳児の腹部は凡そふっくらとしていますが、押してみるとやわらかいのが普通です。(泣いているときは別)哺乳が良好で全身状態の変化を全く伴わない場合は心配ありません。嘔吐を伴う、何日も排便がない、血便、顔色が不良であるなどの症状がある場合は受診が必要です。

 

 

病的な場合は肥厚性幽門狭窄症、慢性便秘症、ヒルシュスプルング病、腸ねん転、腹部腫瘍、食物アレルギーなどを考慮しなければなりません。


Q14 健診で処女膜閉鎖あるいは陰唇癒合といわれた

 

3ケ月健診で指摘されることが多い様ですが、時に1歳過ぎてから来院するケースもあります。殆どは陰唇癒合で綿棒で容易に剥離でき解決します。再癒合防止のために軟膏の塗布を1ケ月ぐらい続けます。その原因として生理的な低エストロゲンと分泌物や便による汚染で炎症を起こしたことによると言われています。

 

 

 

病変部は小陰唇で処女膜ではないことが殆どです。新生児乳児期の女児の会陰部を十分に洗えていないことが要因といわれています。